カリフォルニアの7日間(A〜Z)

 
A. Airplanes(飛行機)
 シンガポール航空に乗ったのは好運であったらしい。何度も往復していると言うその会社員によれば、サービスがとてもいいのだそうである。タイ航空もいいが、日本やアメリカの飛行機は最低であると言う。それにしても機内は高級サロンの感がありサービスと笑顔が最高であった。水割りを3杯飲んでうつらうつらする。
 眼を覚ますと、アメリカの方の空が微かに白んでいる。日本を離れる時ほどではなかったが感慨を覚え、その神々しい光景をしばらくじっと眺める。
 ロサンジェルス到着が1時間ほど遅れる。サンフランシスコ行きのUS航空に間に合うように急いでバスを降りたところ、USをUA(United Airline)と間違えてしまう。大慌てで再び乗った同じ無料のシャトルバスの中で親切な黒人に会う。降り場所を教えてくれて、優しい人だと感心していたところ、降り口で1ドル要求されて、びっくり。
 US航空のスチュワーデスは大柄のアメリカ美人であった。
 ビールは有料とアナウンスがある。美味しいカリフォルニアのオレンジジュースが出た。
 空から見るサンフランシスコ湾は波がまったくなくて、かなり濁っているのか黄緑色であった。
B. BART (シスコの高速通勤用鉄道)& Buses

 BART(Bay Area Rapid Transit)は、サンフランシスコ市を突っ切り、湾を潜って対岸に抜ける列車である。切符がテレフォンカードのように大きく、残額がなくなるまで何度も使える。列車は入口が広く、自転車を持ち込んでいる人がいる。
 2両編成で電車のような感じのバスにも乗ったが、ここでもお釣りが出ない。トロリーバス、2階バスなどもあったが乗らずじまい。
 絵ハガキに載っているあのケーブルカーは、5ドル紙幣を入れると1ドルコインで3枚お釣りが出てくる。ゆっくりと片道30分近く走って港に着く。
 寒いので暖かい海老フライをスタンドで注文、震えながら食べ、暗い中を39桟橋(Pier 39)迄歩く。
 タクシーに乗ると恐そうな感じの中国人であった。英語が下手だと言うと、3、4か月もいると慣れて上手になるから心配しないでいいと言ってくれる。幾らかチップを上乗せして渡した時には、不安も消えうち解けて、にこやかなうちに別れることができた。
 帰りに1泊したロサンジェルスでは、観光バスに乗り、ユニヴァーサル・スタジオに出かける。バスの中のトイレを利用したところ、出てみると乗客が皆いなくなっている。大慌てのハプニング。4両編成の遊覧バスで2時間近く、英語の解説付きで、スタジオを1周する。
C. Credit Cards(クレジット・カード)
 トラベルチェックとビザカードを言われるままに準備していたが、慣れてみると、非常に便利である。最初はサイン1つでOKと言う理由がなかなかつかめなかった。物騒なアメリカでは身分証明書でもあるカードは、大金を持ち歩かずにすむ点で安全でもあり必需品でもある。日本でもカードで物を買うことはあったが、その度に後ろめたい気持ちがしていた。 しかし、ここアメリカで、カードの方が現金よりもかえって便利であることを知る。 
D. Different Cultures(異文化) 
インデイアンに立ち向かう、そんな雰囲気が何となく感じられる知り合ったテキサス出身のその家族は5人グループであった。気さくな感じのその太った中年の母親が2人の娘と夫とその連れ子の息子を紹介してくれる。父親の英語は方言であろうか非常に聞き取りにくいものであった。
 軍隊でアメリカンフットボールをしていたというその息子は、金縁の色眼鏡がよく似合っていた。典型的なアメリカ人家族であった。
 真珠湾攻撃のような奇襲攻撃に備えて、兵役義務にも従順に従っていると言われる生粋のアメリカ人、彼らは必要以上に他人に親切にはしない、他人には干渉しない主義のように思われる。
 それとは違って、自分の出会ったよその国からきた人たち、インド、ポーランド、メキシコ、アフリカ、それに中国出身の人たちは、こちらの気持ちを察して親切にしてくれる人が多かったように思う。
 カリフォルニア大学の バークレー校(UCB)の正門の広場で待ち合わせをしていた間、通る人々を眺めていたところ、あらゆる種類の文化が自然に解け合っている感じであった。日本人の自分も不自然でない。そこには人種の坩堝(ルツボ)アメリカがあった。
E. Excuse me.(イクスキューズ・ミー)
 
 人の前を黙って通らない。肩がちょっと触れても Excuse me.と言う。
 言わない人がいるので、よく見るとどうもアメリカ人でない。エチケットは教養の現れ、そんな感じのするアメリカ人の態度である。他人に対して、攻撃的でないと言うことを常に示そうとしているかのようである。
 案内所と銀行とで、尋ね事をしようとして無視されると言うことがあった。見ると順番に並んでいる。銀行では、紙幣を1ドルコインに換えてくれるかどうか分からないままに列に並んで待つ気になれずついに諦めて立ち去る。ここアメリカの人たちはその点非常に根気強く順番が来るのを待っている。日本に帰っても並ぶ習慣だけはしばらくでも続けたい。
 個人の自由を尊ぶと同時に、その中に、他人同士で決めたルールにはよく従う、ルールを重んじると言う所がある。発音はむずかしくない Excuse me. ではあるが、自然に Excuse me. と口から言葉に出すのはなかなか難しいことであった。
 
F. Freeway(高速道路)
 
 軽自動車が全然見あたらない。いろんな国の自動車が入り混じって走っている中、日本ではあまりお目にかからないオープンカー、キャンピングカーが走っている。料金は取らない高速道路(Freeway)ではどの車も55マイル(90キロ)以上で走っている。100キロ、110キロのスピードが普通である。車社会アメリカは、おたおたしておれない国である。それがサンフランシスコの第一印象であった。スピードが早いと標識を見る時間がなくなり、一度間違うと、もとの道になかなか戻れない。国際免許を取って出かけたが、フリーウェイをちょっと走らせてもらっただけで終わった。田舎の鼠のような思いで車に乗ることを諦めてしまう。
 
G. Give and Take(ギヴ・アンド・テイク)
 
 チップの出し方が分かるまでには時間を要する。チップは要するにサービスに対しての代価である。笑顔が非常ににこやかで優しく丁寧でありサービスがいい。しかし、それに対しては相応のチップが期待されていると言うことである。Giveand Takeが徹底している。サービスが気に入らなかったらチップは出さなくていいのだそうである。テーブルサービスのつかない店だとチップを気にしなくていいので気が休まった。セルフサービスと言う言葉はサービス料を払わなくてよいと言う意味である。サービス込みの定価に慣れた日本人には、チップはどうも理解しにくい。
 芸人が街頭で芸をしているところによく出くわした。人の気を集めて、芸を見せ、気に入ったら金をいくらでも出して下さいと言う。一銭も入れなくていいところが実力主義(Ability First) の国アメリカらしい。
 アメリカは Give and Take の国である。
 
H. Homeless People(ホームレス・ピープル)
 
 バークレーの一角でホームレスの人々がたむろしているところを通り抜ける。道端でぽつぽつと座り込んでいる。同じようなタイプの白人達で30から40歳くらいの人が多い。住む家がない人たちである。意志の弱い人々というか無気力な人々が多いように思われたが、乞食とも少し違う。好きで、または主義でそうしているのだと言う人がいたが、ドロップアウトした人々と言うべきか。寝る場所は公園の隅や木の下とかである。夏場に雨の降らないカリフォルニアでは家なしでも楽に過ごせる点もあるらしい。ホームレスの人々のための食堂とかも見る。犬を連れている人がいたが毛布代わりにするとのこと。

I. Imagination(イマジネーション)
 
 I で始まるアメリカを代表する言葉は何でしょうと質問したところ、両親がポーランドから来たというそのアメリカ紳士は Imaginationではなかろうかと言う。
 世界をリードしているという意識が未だに抜けないままでいる、夢だけを追い求めているところがあると言う。テレビや映画産業などが盛んであることを挙げた。ハリウッドの映画俳優が大統領になる体質を持つ。赤字国際収支を抱えたまま、空想だけがいやに膨らみすぎている。軽自動車に決して乗らない。大型の車を一人で運転して、ガソリンを無駄使いしている。あまり働こうとしない金持ちの息子のようであるということらしい。
 日本人は頭がいいと頭を指差しながらテキサス出身のその若者は言う。日本では土曜日も学校があり、夏休みも40日で短い。頭がいい訳ではないと言っておいた。
 中流意識はあるが、日本人はどうも手堅すぎるような感じがする。働き過ぎではなかろうか。
 
J. Jogging(ジョギング)
 
 皆走りぶりがマイペースである。夫婦でジョギングをしているところなどをよく見かけた。テレビでもダイエットのための健康器具の宣伝や、ダイエットのための体操が目についた。飲物にはダイエット用砂糖(Dieting Sugar) がついて出ることが多かった。以前よりも確かにダイエットには心がけているらしい。あまり肥え過ぎている人にもお目にかからなかった。Jogging と言う言葉もまた飽食のアメリカの一面を表わす代表的な言葉ではなかろうか。
 
K. Kidnapping(誘拐)
 
 子供がどの子も皆とてもかわいい。2つ3つの子供が英語をしゃべっているのを聞いていると、とても純真で、まったく疑いを知らないかのようである。誘拐したくなる人も出るということかもしれない。
 行方不明の子供の写真入りのチラシがしょっちゅう入って来ると言う。通りを子供が一人で歩いているのは見かけない。親は子供から目を離さない。物騒な国である。
 しかし、水族館や科学博物館は、子供で溢れていた。家庭サービスにつとめている優しい父親の姿が目についた。
 
L. Lock Double(二重の鍵)
 
 アパートでも、ロサンジェルスのホテルでも外からの鍵が二重になっている。鍵穴が二つあって面倒くさいが安心できるからいいのだそうである。ノックをされてもすぐに開けずにまず鍵穴から覗けと書いてある。
 ロサンジェルスのホテルで、気にせずノックに答えてすぐドアを開けたところ、掃除人らしいメキシコ風の人が立っている。ベッドかどこかの掃除をしますと言ってくれているらしい。何度も言うその英語が分からないと言う顔をしていると、それではいいですと言って遠慮顔で申し訳なさそうに向こうに立ち去っていく。何も悪気はなかったらしい。悪いことをしたなあと後で思う。日銭を稼いでいる風の真面目な人であった。
 
M. Mild Climate(温暖な気候)
 
 地図を頼りに、やっとのことで、大分で英語を教えている米人教師の両親を サリーナス(Salinas)に訪問する。土産に佐伯の挽茶饅頭を手渡すと、すぐその場で包を開き喜んでくれた。この老人夫婦にカリフォルニアの天候の話をすると、この土地は世界で一番いい気候であると、自慢げに話してくれた。
 当地は地中海性気候で1年中、気温があまり変化しないと言う。夏でもクーラーが要らない。夜は肌寒いくらいで、実際、滞在中8月始めであったが、朝方一度、ストーブを入れると言うことがあった。 サンフランシスコは東京より北にあるが、海からの風で冬もほとんどオーバーが要らないとのこと。美しい自然にも恵まれ、雨が少なく太陽が輝く当地は、アメリカで最も魅力ある土地である。
 
N. No Smoking(禁煙)
 
 いわゆる公共の場所、銀行等では喫煙している人がいない。サンフランシスコ市には喫煙汚染規制条例があるそうで、罰金も取られるとのこと。場所にもよると思われるが、アメリカではタバコを吸う人が何となく少ないような印象を受けた。
 
O. Orange Juice(オレンジ・ジュース)
 
 機内サービス等、ジュースはいつもオレンジ・ジュースを注文した。100%果汁で、新鮮さもあったからかもしれない。最初の味が忘れられぬほどよかったのである。アップルジュースなども飲んでみておくべきであった。カリフォルニアのアップルジュースを飲み損ねる。
 アパートではスーパーから買ってきたぶどう酒をビール代わりに飲んだ。ぶどう酒の味も特筆に値するもので、日本に持ち込んだら随分売れるのではないかと思えるほど舌ざわりがよかった。
 紅茶もまた、味が違っていた。日本では、新鮮でしかも高級なものは飲んでいなかったからかも知れない。行きの太平洋上で注文した緑茶は、逆に、おいしくなかった。それ以後はいつも紅茶を楽しんだ。アメリカでは、紅茶の方が緑茶よりもおいしい。「所変われば、味変わる」である。

P. Paper Bag & Paperbacks(紙袋とペーパーバック)
 
 その部屋にはゴミ箱がなかった。あったのはスーパーから持ち帰った、あのガバガバっとした、日本のものより、少し厚手の紙袋で、これを口の所を二、、三重に折り曲げて、ゴミ箱代わりに立てて据えて置いてある。ゴミが溜るとこれをそのままくるんで、外に運び出す。とても便利なようであった。 
 紙は紙でも、ペーパーバック(Paperbacks)いわゆるアメリカの本は、日本の文庫本の類よりかなり品(シナ)が落ちるように感じる。めくりにくいし、読みにくい。艶のある日本の表紙(折込カヴァー)をまねたらよかろうと思うのは私だけではなかろう。

Q. Quantity(サイズ)

 ジュースの小(Small) を注文すると日本の中サイズ(Medium)がくる。小でも飲み取れないほどの量である。料理も、イタリア料理のピザは大き過ぎた。メキシコ料理のタコスと言うのも食べきれないでたくさん残してしまう。
 お土産にTシャツを買おうとしたら、Sサイズがなかなか見あたらない。そのSサイズもかなり大きなものであった。アメリカは、ビッグサイズの国である。
 
R. Reservation(予約)

 予約なしで人に面会はできないといわれる。相手の時間をもらうには、許可が要るという。日本ではホテルなど、飛び込みでも何とかなるように思われるが、アメリカは何しろ土地が広く距離がある。そういうことからも予約が必ず必要とされるようになったのかもしれない。航空券利用では、予約が切れていないかを電話で再確認することも、当然のことになっている。  
 
S. Striptease(ストリップ)

 夜の街、バーの類にはついに行きそびれた。びっくりしたのはサンフランシスコ空港の売店で見たペントハウス(Penthouse)のグラビアの写真である。 この雑誌、後で買おうと思っていたのが買えないままになり、いいお土産を逸してしまう。日本では手に入らないものがアメリカには確かにある。税関を通過しにくいような品物であったので、穏やかな話ではないが。
 
T. Tax(消費税)

 最初の買物は1枚35セントの絵ハガキであったが、そのすぐ隣の店でほとんど同じものが14セントで売られていた。
 「隣の店は大通りに面しているがここは人通りがないので」と中国人の店員が当り前のように言う。値段の高い方は典型的なアメリカ人の店であった。
 チャイナタウンで1枚30セント、4枚で1ドルという店で4枚買ったところ、1ドルでは足らないと言われる。消費税が(Sales Tax)6.5%つくと言う。消費税は1州を除いて各州で6〜8%、かなり高い。ちなみに西欧では15〜17%とのことで、フランスでは16%であると何かで読んだ。
 日本の消費税、慣れるまでは高い気がしていたが、アメリカに比べればまだ安い方である。
 
U. UCB(カリフォルニア大学バークレー校)

 バークレー校は、蔵書が非常に多いらしい。パソコンで、書名や人名から希望の本が探せるようになっている。図書館で日本にないような日本の本を見つけ、立ち読みで1時間ほど2、3冊読む。
 校内の説明をガイド嬢の案内で受ける。そのアルバイト学生は、何と後ろ向きで1時間半ほど笑顔で説明をしながら歩き続けたのである。これも驚いたものの一つであった。
 最後に、評価記入のカードを渡してくれた。評価をしてポストに投入するようにとのことであった。
 アメリカでは教師が生徒に評価される厳しい状況にあることを知らされる。

V. Voice(声)
 
 アメリカ人の声は、腹の底から響いて来るような響きがあると常々思っていたが、確かに発声の仕方が、日本人とは違うように思う。中年の男性、古いが、あのジョン・ウェインやゲーリー・クーパーの声にはどこか男らしさがあり魅力がある。まねをしなければならない。
 少なくとも英語の発音をするときは、腹から発声する腹式呼吸を心がけ、背筋を伸ばしてかっこよく見せたいと思う。 
 
W. Wheelchairs(車椅子)
 
 アメリカには、車椅子の人が通れるスペースがある。色々な場所で、車椅子に対する配慮が常になされていることを意識させられた。少数派の人々を大事にする空気がある。ルーズベルト大統領が車椅子であった。近くは、車椅子の天才、天文学者ホーキング博士がいる。
 
X. Xing(交差点)
 
 信号を無視する歩行者が多い。車がこない、夜中の交差点(Crossing)で、赤信号で立ち止まっていた時、「渡っても大丈夫」とせかされたことがあった。
 ここアメリカでは、信号重視より人間重視である。人間尊重の考えの方が正しいのかもしれない。
 
Y. Yellow Land(黄色い大地)
 
 アメリカは黄色の国であると絵はがきに書いたと説明したところ、黄色は西海岸の一部だけで、東と中央の大部分は水と緑に覆われていると反論された。
 それにしても空から見るカリフォルニアの大地は、黄色か茶色の乾いた感じの砂漠に、木が生えたような印象であったことも確かである。雨が少ないためである。もっとも冬場は雨もかなり降り、緑も増えるとのことであった。
 
Z. Zest(熱意) 
 
 ロサンジェルス空港から、間を置かず、それこそひっきりなしに次から次へと国際色豊かなジェット機が飛び立って行く。 その飛び立つ雄姿を眺めていたとき、人々の持つ「熱意(Zest)」(けなげさ)というものについて考えさせられた。
 色とりどりのジェット機が、それこそぶっつかるほどに接近しながら、つながって滑走路をゆっくりと進んでいる。
 それぞれが自分の出番を待っている。自分もこれを機に、大きく羽ばたいて舞い上がりたい。そんな思いが、ひしひしと胸に迫ってきた。